7月15日(日)に行われた創立50周年記念事業にて、記念シンポジウムを開催いたしました。
シンポジストとして卒業生4名をお招きして「これからの社医学について考える」をテーマに意見を述べていただき、その後は参加者全員でディスカッションを行いました。
シンポジスト4名の発表内容についてご紹介いたします。
川本 愛一郎 氏
作業療法学科 夜間部1期生
有限会社リハシップあい 代表取締役
【略歴】
1984年卒業。鹿児島県出水市立病院入職。
1995年 鹿児島県作業療法士会会長就任。
1999年 言語聴覚士免許取得。
2004年 有限会社リハシップあい創業。
2016年 日本作業療法士協会理事就任。
起業を背景にした今後の社医学への提言という形でお話をさせていただきます。
1999年、私は退院後の生活において重要な地域リハビリテーションの必要性を考えていました。ちょうどその頃、介護保険制度の施行、知人のデイサービス起業、病院の近くの土地購入という偶然が重なり、2003年にデイサービスの起業を決意し、2004年に開業しました。デイサービスでは、利用者が楽しく作業でき、それが社会に繋がるような活動をしています。
今後の理学療法士・作業療法士は、医療・介護といった範疇を超えたところでの活躍の場を期待されるのではないかと考えています。社医学の学生には、社会に対してどう関わっていくかというマインドの部分を期待します。
西海 奉成 氏
理学療法学科 昼間部2期生
株式会社トータルライフケア 代表取締役
【略歴】
1987年卒業。順天堂伊豆長岡病院人職。
1993 年 日本針灸理療学校卒業。
1997年 日本柔道整復学校卒業。
1997年 株式会社トータルライフケア創業。
訪問看護ステーションを経営しています。訪問介護においてセラピストは看護師派遣の3倍もの依頼が来ます。しかし、国は2006年に「訪問看護計画において理学療法士の訪問が保健師または看護師の訪問回数を上回るような設定がなされることは適切でない」というQ&Aの発出や、2021年に介護報酬改定でセラピストが60分サービスを提供した場合の単価の減算を行いました。訪問看護の人員配置を看護師6:セラピスト4にしようとしているのではないかと思います。
今後、要介護人口は増加します。在宅で最期を迎えるためには、ご家族を含めた生活を援助できる優秀なセラピストが必要です。弊社では「訪問看護ステーションを運営できる人財」を育てる取り組みを行っています。
清宮 清美 氏
理学療法学科 夜間部6期生
東京保健医療専門職大学 教授
【略歴】
1982年卒業。埼玉県立障害者リハビリテーションセンター(現 埼玉県総合リハビリテーションセンター)入職。
2020年 東京保健医療専門職大学入職。
私は卒業後に埼玉県に入職し、定年まで県内のさまざまな施設で臨床を経験しました。定年後は東京保健医療専門職大学へ入職し、長年臨床に携わった実務家教員としての立場から「利用者を相手にする臨床」という視点を伝えたいと思いながら学生と接しています。
専門職大学では、専門分野の教育を重視するとともに、起業や経営など専門分野と関連する他分野を学ぶ展開科目というものもあり、リハビリテーション分野において創造的な役割を果たすために必要な能力を育成しています。一方で、卒業後に臨床で働きたいという学生にとっては、社医学のような臨床を重視した教育機関で学ぶことが良いと、卒業生として思っています。ぜひ社医学には、臨床で役立つ人材育成という伝統を継続してほしいと考えています。
堀田 夏子 氏
理学療法学科 昼間部20期生
神奈川リハビリテーション病院
【略歴】
2005年卒業。神奈川リハビリテーション病院入職。
脊髄障害認定理学療法士。
現在勤務している神奈川リハビリテーション病院では、入職後3年目までを新人教育と位置付けています。4年目以降は対象者の志向に応じてより自主的で自律的な学習を進める段階、6年目以降は学習者であるとともに教授者であるという認識をもって教育に関わります。研修を手厚く行っていますので、基本的には3年間働けば一通り患者さんが診られるような治療技術を身につけることができます。求める人材としては、コミュニケーションが取れる方、続けることができる方、障害者の生活に興味がある方に来ていただきたいと考えています。
学生時代はサークル活動、アルバイト、ボランティアなどさまざまな経験を通して豊かな人間性を養ってほしいと思います。培ったものは理学療法士としての技術や知識につながっていくでしょう。
そのほかの記念事業については、創立50周年記念事業ページをご覧ください。
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