理学療法士・作業療法士の「将来性」や今後の需要についてズバリお答えします!
超高齢化社会に突入している日本では理学療法士・作業療法士の需要はますます高まっています。
一方で、「PT飽和」「増えすぎ」「AI化で仕事がなくなる」などの情報を耳にすることもあるのではないでしょうか。
そこで今回は、理学療法士・作業療法士の今後の需要や将来性について、具体的な理由とともに解説していきます。
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の将来性はあるの?
理学療法士(PT)と作業療法士(OT) (以下、PT・OT) は、厚生労働省所管の医療系国家資格であり、リハビリテーションの専門職です。
赤ちゃんから高齢者まで、すべての年齢の方を対象に、支援を必要とする方の心身機能や生活を医学的・社会的な視点から評価して、機能回復やその人らしく生活するためのプログラムを作成・実施しています。
超高齢社会を迎えた日本にとって、加齢や病気などによる心身機能・生活機能低下に対するアプローチはもちろん、予防的な取り組みやスポーツ界、産業分野など、今以上にPT・OTを必要とする人や場は広がりつつあります。
冒頭でお伝えした、将来性を不安視する声も聞かれますが、PTやOTは人対人のコミュニケーションによって、患者のニーズを把握し、適切な支援を提供することが重要です。このような人間同士のコミュニケーションや関係性は、AIでは完全に再現することができないため、今後も需要がある職種だと言えるでしょう。
※PTについて詳しくはこちら:理学療法士とは?仕事内容や「今後も必要とされる」理由など、わかりやすく解説します!
PT・OTの将来性がある具体的な理由
PT・OTに将来性がある理由として、
- ・超高齢社会の継続
- ・精神的なケアを求める人の急増
- ・AIによる仕事の自動化が難しい
- ・活躍の場が広がり続けている
などが挙げられます。
①超高齢化社会の継続
2022年の日本の65歳以上の高齢者数は3627万人で、総人口に占める割合は29.1%です。2025年には約3人に1人が高齢者になると推計されています。(出典:総務省 統計トピックスNo.132)
2000年に218万人だった要介護認定者数は2022年には680万人となり、22年間で3倍以上に増加しています。(出典:厚生労働省 介護保険事業状況報告)介護サービス利用者も2000年から2019年の間に3倍以上に増加しており、病院だけでなく、介護・福祉施設や在宅介護サービスを利用する高齢者が増えて続けています。(出典:厚生労働省 介護分野をめぐる状況について)
要介護認定者における認知症高齢者も年々増加傾向にあり、要介護者や認知症高齢者に対する専門的な知識・技術を持つPT・OTを必要とする施設や事業所は今後も増えていくと予測されます。
特に、住み慣れた自宅で在宅サービスを利用しながらの生活を望む高齢者が多く、地域で活躍するPT・OTの需要はますます高まっていくでしょう。
②精神的なケアを求める人が急増
心も身体と同じように日常的なストレスや病気によって不調をきたし、心の不調から身体や生活機能へ影響が及ぶこともあります。2015年12月からの労働者に対するストレスチェックの義務化によって、メンタルヘルスへの社会の注目は以前に比べて高まっています。
生まれ持っての発達特性が生活・学習・仕事場面での困りごとに関連している場合もあります。メディアによる情報発信や社会的な制度の確立によって、精神疾患や発達特性の認知が広がり、PT・OTが関わるケースも増えてきました。
コロナ禍で長期間にわたる外出・活動の制限、感染への不安などから、ケアを必要とする高齢者も増加傾向にあり、精神的なケアも含めた関わりが求められています。
③AI(人工知能)による仕事の自動化が難しい
AIによる自動化が進み、近い将来、日本の労働人口の約 49%が機械に仕事を取って代わられると言われています。
実際にリハビリテーションの現場でもAIが活用されています。
- ・リハビリテーションの介入前後の評価データを用いた効果測定
- ・入力した患者データから退院日の予測や推奨されるプログラムの選定
- ・関節可動域の自動測定、歩行・動作分析
- ・脳トレクイズやビジョントレーニング、学習アプリ
- ・VRを用いたリハビリテーション
上記の通り、データ分析やプログラム作成の補助など、業務の効率化や正確性の高い評価といった面でAIの活用が期待できます。
しかし、実務の面で対象者との直接的な関わりの中でアプローチを行い、多職種との協働が欠かせないPT・OTの仕事は、機械が取って代わる部分は少ないでしょう。
④活躍の場が広がり続けている
PT・OTが活躍する場は病院や介護施設だけではありません。その活躍の場は、次のように広がり続けています。
- ・病院やクリニックなどの医療機関
- ・介護施設、デイケア、訪問看護ステーション、福祉用具・住宅改修業者などの介護保険関連施設・事業所
- ・スポーツ界、障がい者スポーツ
- ・地域包括支援センターや市役所、保健所、幼稚園・保育所訪問
- ・障がい者就労支援、復職支援、身体障がい者更生施設
- ・健康増進や介護予防
- ・医療機器メーカー、医療福祉関連企業
- ・刑務所、少年院などの司法領域
- ・発達支援センターや支援学校などの児童福祉施設や、児童発達支援・放課後等デイサービス
- ・理学療法士養成校や大学
- ・災害リハビリテーション、青年海外協力隊
など
将来を見据えて、より求められる人材になろう
PT・OTの活躍の場は広がっていますが、自分の働きたい分野や興味のある分野で活躍するためには、その分野においてより求められる人材となることが必要です。
自分がどのようなPT・OTになりたいのか、そのためには何が必要なのかを明確にして、スキルアップ、キャリアアップを図っていきましょう。
方法1、セミナーや学会への参加
興味の幅を広げ、新しい知識や技術を身につけるためには職場の勉強会だけでなく、外に出て勉強することをおすすめします。
理学療法士協会、作業療法士協会、都道府県士会などが主催する研修会、病院主催・各分野の勉強会、企業のセミナーなど、近年は多くの勉強会やセミナーが開かれています。自身の求めている知識や技術が得られる内容であるか、事前の情報収集をしっかりとしたうえで参加しましょう。
学会への参加は新しい情報を得られ、刺激になります。演者となれば、研究スキルも上がり、フィードバックを通して外部との繋がりを持つチャンスも得られるでしょう。
方法2、認定資格を取得する
PT・OTには各協会によって認定理学(作業)療法士・専門理学(作業)療法士の制度が設けられています。
2022年6月1日現在、認定理学療法士(実数)は14,594名、専門理学療法士(実数)は1,715名。2023年2月1日現在の認定作業療法士は1,333名、専門作業療法士(延べ人数)は129名です。
認定理学(作業)療法士になるには、各協会が指定する研修の受講や事例報告、学会参加・発表、専門分野の論文提出、試験への合格などの要件を満たすことが必要です。
各分野における高い水準の知識と技術を持ったスペシャリストとして活躍・貢献でき、PT・OTとしての専門性を追求できるキャリアです。
方法3、その他の役立つ資格を取得する
PT・OTとして働く中で、特定の分野や技術の専門性を高めたい場合に、資格を取得してスキルアップを図る道もあります。
【心臓リハビリテーション指導士】
日本心臓リハビリテーション学会認定の資格で、心臓リハビリテーションに必要な運動療法、食事療法、禁煙指導などの包括的なリハビリテーションの提供と多職種が連携する円滑なチーム医療を行うための資格です。
【呼吸療法認定士】
一般社団法人日本呼吸器学会、一般社団法人日本胸部外科学会、公益社団法人日本麻酔科学会の3学会合同の認定資格であり、呼吸療法の習熟と呼吸管理を行う医療チームの構成とレベルアップを目的とした資格です。
【認知症ケア専門士】
一般社団法人日本認知症ケア学会認定の資格で、認知症ケアに対する優れた学識と高度の技能を持ち、倫理観を備えた人材の養成を目的とした資格です。
【栄養サポートチーム専門療法士】
一般社団法人日本臨床栄養代謝学会の認定資格で栄養管理をチームで行うにあたって静脈栄養・経腸栄養を用いた臨床栄養学に関する優れた知識と技術を有した人材に与えられる資格です。
方法4、職域の拡大・開拓
PT・OTとしての専門性を持ちながら職域の拡大・開拓を図るキャリアもあります。たとえば次のようなケースです。
- ・介護支援専門員(ケアマネジャー) として地域で暮らす人々の生活を支える
- ・柔道整復師や鍼灸師などの資格を取得して、整骨院やサロンなどを開業する
- ・PT・OTへの情報発信やセミナー、研修会などの企画・運営を行う
- ・産後の母親の心身の調整や美容と組み合わせた施術などのウイメンズヘルス分野
- ・勤労者の健康対策を行う産業リハビリテーション
- ・不登校児を対象とした適応教室や学校での相談業務
- ・カフェや子ども食堂など、地域のコミュニティの場での人々の支援
など
まとめ
- ・超高齢化社会を迎えた日本でのPT・OTの需要は高く、将来性もある
- ・AI化が進んでもPT・OTは人が行う仕事として残る
- ・PT・OTの活躍の場は多様化するニーズに伴って拡大し続けている
- ・PT・OTとして興味のある分野で働くにはスキルアップ、キャリアアップが必要
PT・OTの人数は年々増加しますが、高齢化や多様化するニーズに伴って活躍の場は増えています。自身の進みたい道を明確に定め、研鑽を積むことが大切です。
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PT・OTに必要な知識・技術はもちろん、対象者との関係性で必要不可欠なコミュニケーションや社会人のマナーも習得できます。これらは対象者との信頼関係の築きや多職種・外部との連携を行う上でも非常に重要なスキルです。身につけられると自信にも繋がるでしょう。
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